抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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甲状腺機能に及ぼすトリクロサンを含有する練り歯磨きの使用の長期効果は今のところ知られていない。トリクロサンは甲状腺ホルモンと構造的に似ており動物試験ではトリクロサンの経口投与後に血清甲状腺ホルモン濃度の低下を観察している。そこで冠状動脈性心臓病の被験者で0.3%トリクロサン含有練り歯磨きとプラシーボ練り歯磨きの効果を比較する無作為でプラシーボを対照としたクリニカル試験により小集団の人達を対象に4年以上甲状腺機能の評価を行った。甲状腺刺激ホルモン(TSH),遊離サイロキシン(fT4),遊離トリヨードチロニン(fT3),抗サイログロブリン抗体(抗TGab)及び抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPOab)を測定した。132人の被験者(トリクロサン群64人,プラシーボ群68人)から1年目と5年目に採取した血清試料を分析した。1年目には群間で有意な差はなくTSHの平均値(標準偏差)はトリクロサン群及びプラシーボ群でそれぞれ1.4(0.8)及び1.6(0.9)mU/l,fT4は15.8(2.2)及び15.2(2.1)pmol/l,fT3は4.8(0.5)及び4.8(0.5)pmol/lであった。同様に1年目では抗甲状腺抗体についても有意な差はなかった。抗TGabの中央値(第一四分位数,第三四分位数)はトリクロサン群及びプラシーボ群でそれぞれ38(34,42)及び37(30,42)U/ml,抗TPOabは15(10,22)及び18(10,24)であった。5年目ではfT4のみが両群間で有意な差を示しトリクロサン群とプラシーボ群の平均値(95%信頼区間)はそれぞれ15.6(15.1,16.1)及び14.7(14.2,15.1)pmol/lであった(p=0.01)。これはトリクロサン群では変化はなかったもののプラシーボ群で減少したことを反映している。結論として4年以上のトリクロサン練り歯磨きの使用は甲状腺機能に検知可能な影響を及ぼすことはない。これらデータは練り歯磨きの0.3%トリクロサンは安全であり甲状腺への有意な悪影響を及ぼすものではないとの見地を支持するものである。Copyright 2012 Elsevier B.V., Amsterdam. All rights reserved. Translated from English into Japanese by JST.