抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
国内でも有数のカメラ生産地域である諏訪地域について,カメラメーカーの海外生産とデジタルカメラの普及が下請組立企業に及ぼした影響について考察した。まず,諏訪地域の精密機械器具製造業の推移について言及し,諏訪地域におけるカメラメーカーの海外生産とデジタルカメラへの参入について,個別企業としてヤシカ(京セラ),チノン(AOF),オリンパス,日東光学の動向を述べた。次に,諏訪地区のカメラの生産体制について述べ,さらに,海外生産への移行と下請組立企業への影響について,従業員規模の比較的大きい1次下請けの3社の状況を報告した。諏訪地域のカメラメーカーは1980年代末から1990年代前半に一斉に海外生産を本格化させていった。1990年代を通じてフィルムカメラの海外移管が順次行われ,国内空洞化対策として導入されたデジタルカメラも2000年以降海外に移管された。その後,国内工場はマザー工場として開発・設計や海外生産拠点の支援を担っていくことになるが,同時に国内生産拠点の再編・縮小が行われた。フィルムカメラ生産の海外移管は,下請組立企業への発注量を大幅に減少させると同時にアジア並みの単価を要求することになった。デジタルカメラの普及は,下請組立企業を単なる組立企業と化し,カメラ生産の垂直的下請分業体制が崩壊した。これらによりカメラ関連の下請企業はカメラ事業から大きくシフトしていかざるをえなくなった。現在多くの下請中小企業が親企業に依存しない独自経営を模索し続けており,一部ではあるが海外進出の動きが示されている。