抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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扇状地河川の流量変化を把握する同時流量観測では,複雑な水深や流速分布に対して精度と効率性の両立が課題となる.本研究では,可搬式ドップラー流速計(ADV)と流量分布に応じた細密な測線分割を組み合わせた観測法を提案し,ISO748(2007)が示す不確定値を精度評価の指標として,その有効性を示した.札幌市を貫流する豊平川への適用では,観測流量は不確定値2-3 %に留めつつ,日4-6地点の縦断的な連続観測が可能であり,その結果,流量減少は南19条大橋から南大橋までの約1.5 km間,その間の伏没量は約1 m
3/sと特定できた.この伏没量は市の地下水揚水量の約8割に相当し,重要な地下水涵養源であることを改めて示した.一方,基準観測所である扇頂の藻岩観測所と扇端の雁来観測所間の流量変化は,途中の東橋付近で流量の増減傾向が逆転するため,扇頂から扇端へのトータルの伏没量は見かけ上小さくなった.同一地点・流況での現行法との比較では,現行法の不確定値は7-9 %と伏没量と同等となるため,豊平川に現行法を適用した伏没量評価は困難と言える.また流速プロファイラー(ADCP)の場合,水深が一定以上(本観測の場合0.3 m以上)ある区間の流量は本観測法(ADV)による結果とほぼ一致したが,浅水深の区間では不感帯に起因する流量欠損が生じ,豊平川の低水流況では上下流を通じて全体に少なめの値となった.(著者抄録)