抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年3月11日の東日本大震災と津波により,福島第一原子力発電所の事故が引き起こされ,大量の放射性物質が大気中に放出された。放射性物質は広範囲に輸送されて地表に沈着し,環境に影響を与えた。環境中の放射性物質に関して,空間放射線量率や大気降下物,土壌への沈着量マップなど膨大なデータが公表されている。本総説では,こうしたデータに基づいて放射性物質の放出率推定,原発周辺での放射性物質の挙動を概説する。また,航空機観測による広域の土壌への沈着量マップを再現するための領域モデルによる数値シミュレーションが報告されている。これを参考に,福島県の地上風系のメソ解析結果も参考にして,広域汚染の実態を解析した。3月12日から23日にかけての汚染気塊の輸送や降水による沈着の概要を記述する。大気中の放射性物質の観測は限られており,大気中の放射能濃度の連続測定が行われたのは関東地方の7地点だけである。このデータを用いて,ヨウ素131及びセシウム137の放射能濃度の経日変化と,大気中の放射性物質の長期変化に関してこれまでわかったことを報告する。最後に,原発事故から1年以上経過した現時点での今後の課題を示す。