抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
鋳鉄溶湯を急冷すると炭素は黒鉛としての形態をとらず,チルと呼ばれる炭化物Fe
3Cが晶出し,機械的性質や機械加工性を著しく劣化させる。本研究の目的はインモールド接種を行うための合金をうまく選択しチル化をなるべく少なくすることである。研究対象材の主要元素は大略,3.56C,2.78Si,0.47Mn,0.05Mg,0.02Al,0.005Ti(wt.%),で,その他多数の元素が含まれている。この材料の球状化処理の前に,Al,Zr,Ca-FeSi合金で事前調整したものとしないものそれぞれに対して,CaMgRE-FeSiで球状化処理後,次に示す6種の合金で接種実験を行った。a)Ca-FeSi,b)Ba,Ca-FeSi,c)Ca,Zr-FeSi,d)Ca,Re,S,O-FeSi,e)Sr-FeSi,f)Sr,Zr-FeSi。チル化の評価は,ASTMA367-85に準拠したくさび状サンプルによるチル幅の測定,及び接種後冷却過程の温度を解析することにより行った。冷却過程で最も重要なパラメータは,共晶過冷却と呼ばれるΔTm,及びΔT1である。ΔTm=Tst-TEU,ΔT1=TEU-Tmstである。ここで,Tstは安定なグラファイト共晶平衡温度,TEUは最小の共晶温度,Tmstは準安定な炭化物共晶平衡温度,である。主な結果は次のとおりである。1)事前調整したものもしないものも,ΔTmが大きくなるにつれて,全チル幅が大きくなった。2)事前調整したものもしないものも,ΔT1が大きくなるにつれて,全チル幅が小さくなった。3)最もインモールド接種効果が現れてチル幅が小さくなるのは上記d)のCa,Re,S,O-FeSi合金であった。2番目に接種効果があったのは,a)のCa-FeSi,c)のCa,Zr-FeSiであった。いずれの場合も,事前調整によってさらにチル幅が小さくなった。4)b)のBa,Ca-FeSiは,事前調整の有無に関わらず,接種効果はなかった。