抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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常に地震が脅かされる自然環境にある日本は幾多の大災害をレジリエントに生き延びてきた。本論文では,1)元禄~宝永地震(1703~1707年),2)リスボン大地震(1755年),3)安政の大地震(1854年)といった災禍の歴史を概観し,大災害と社会システムの転換期が重なってきたことを指摘した。著者らは以前に,i)社会的エリート層,ii)一般民衆層,iii)グローバル世界からなる社会において,それらの間に存在する潜在的対立/結託関係をモデル化した三層(重層)モラルコンフリクト・モデルを提案した。それを社会変動の一般モデルとして用い,1)~3)の時代に適用することで災害に伴う社会変化のダイナミズムを解読するとともに東日本大震災の状況にも当てはめた。その結果,国内が不安定化しているにもかかわらず,iii)も不安定なために適切な協力関係を構成できず,i)に代替案を提供すべきii)の中の小集団(オルトエリート)も明確に出現しないという漂流状態にあることが示唆された。そうした状況を踏まえてインターネットモニター調査を行ったところ家族の大切さや社会参加の重要性に対する認識が高まり,未来に対する意見の分裂や将来への悲観も認められたので,多様な社会システムとの関連から各問題解決に取り組むべきことを指摘した。