抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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システムの巨大化に伴い,複雑化,不確実性化,曖昧さが増大し,見えないところで繋がりが生じ,局所のトラブルが全体に及び,その基盤を崩すリスクにまで及ぶことがあることが指摘されている。安全とリスク管理の考え方では,安全対危険の二項対立ではなく,リスクを軸とした安全議論に転換すべきである。原子力施設の安全確保に関しては5層の深層防護が国際レベルで検討が進んでおり,わが国の安全規制にどう組み込んでいくかが重要である;(1)異常の発生防止(2)異常の拡大防止(3)放射性物質の放出事故,炉心損傷,溶融事故への拡大防止(4)早期大規模な放射性物質の放出に至る事態の排除(5)緊急時対応。原子力のリスクガバナンスについては,深層防護の枠組みに社会との関わりを適切に組み込めるかがポイントになり,リスクガバナンスの高度化に関してはさらに6つの小さな論点がある;(1)ゼロリスクはありえず,安全か危険かという二項対立から,リスク論を軸に確率論的発想で議論すべきである。(2)最悪のケースを想定し,そのリスクを社会的に合理的と判断されるレベルまで低減させるよう取り組むべきである。(3)想像力と創造力を駆使しつつ,継続的に改善を行う安全文化が重要である。(4)工学的安全施設,ハードと避難とソフトを統合して,人と環境を守る全体システムを再構築すべきである。(5)科学的な支援と専門性と公平性を有する第三者が関与する仕組みを作ってリスクを低減することが必要である。(6)原子力安全の考え方やシステムの再構築が,国際的な視点からされるべきである。