抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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車載電子機器は,アナログとディジタルの両回路からなり,それらを分離させるためのスリット付き共通グラウンドを持った多層のプリント回路基板(PCB)で構成されることが多いが,この種の機器からワイヤハーネスヘ流出する伝導雑音電流は,車載FMラジオヘの妨害源となる。この問題に関して,先行研究では,平行2配線間のクロストークを,グラウンドパターンに端部が開放のスリットを配線と平行に設けることで低減できることが,実験とFDTDシミュレーションで示されていると共に,この低減機構がブリッジ等価回路の平衡条件から定性的に説明でき,さらに配線間の直接的な電磁結合が配線間クロストークに対する支配的要因であることが見出されている。しかしながら,信号配線直下のグラウンドパターンのサイズを大きく変化させたときのFM帯クロストークに及ぼす影響については,十分に解明されたわけではなく,それ故にクロストーク低減の支配的因子も明らかでない。そこで,木論文では,これまでにFDTDシミュレーションを用いて調査した,二つの平行する細い信号配線(パターン幅0.5mm)とそれらのグラウンドの分割幅を前記二つの信号配線直下に至るまで大きく変化させた場合の配線間クロストーク量の変化,すなわち分割幅を大きくしていくとクロストーク特性が低減から増加に転じる変曲点が存在することについて,実験による検証を行い,FM放送波帯を含む100MHzにおいてはその特性が2dB以内の差でFDTDシミュレーションによる調査とほぼ一致するという結果を得た。また,その原因は,先行研究による結果と同じく,配線間の相互インダクタンスMの変化に起因し,平行2配線とそれらのグラウンドの位置関係に対して,幾何学的平均距離から導出した相互インダクタンスMを用いた電磁結合理論による計算からも明らかにした。さらに,FDTDシミュレーションと実験による変曲点は,d=40mm近辺で一致していることも確認した。