抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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科学・技術に基づいて開発,製作された製品やシステムには,利便性(ベネフィット)があり生活を豊かにする一方で,必然的にある種の危険性(リスク)が存在する。技術リスクの考え方,付き合い方は次のようにまとめられる;(1)リスク低減の役割と責任:製造者,利用者,管理者の役割や責任の分担の境界に存在する最も重要な概念がリスクであり,どこまでの大きさのリスクならば,受容するか,許容するかという問題である。(2)許容可能なリスク:どこまでリスクを低減したら許容されるかは,時代により,価値観により,条件により異なり,一概には決められない。現実の基準は,リスクのレベルを示すリスク基準や性能基準よりは,構造等を決める仕様基準の形が多く用いられている。食品における化学物質の含有量や放射線の許容レベルは,数値として守るべき基準が決められている。(3)科学的事実と価値判断:個人レベルで許容可能リスクを考えて意思決定するには,安全と安心の関係を明確にしておく必要がある。安全は科学的,合理的であるが,安心は主観的であり,個人により異なる。安全を実現しているか否かという科学的事実と,それを受け入れるか否かという価値観は分けて考えるべきであるが,原子力発電の場合,自分だけが原子力発電を選択しないということはほとんど困難である。原子力発電の信頼を得るには,愚直なまでに安全を実現する姿勢,良い情報も悪い情報も積極的に開示する姿勢,コミュニケーションを通じた使用者との対話等が必須となる。