抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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紀伊半島南部に広く分布する牟婁層群は,海洋性岩石が認められず,粗粒砕屑岩層が優勢で,初生層序も維持され,変形も弱いことから,永らく前弧海盆堆積物とみなされてきた。しかしながら,転倒褶曲や等斜褶曲およびスラストが発達し,基盤の付加体が認められないことや,前弧海盆堆積物であることが明確な田辺層群および熊野層群の基盤をなすこと,南海付加体との構造類似性などから,付加体として位置づけ,層序を維持する付加体として牟婁付加シークエンスと称することを提唱する。牟婁付加シークエンスはスラストによって,北から野竹構造ユニット,狼だわ山構造ユニット,市鹿野構造ユニットおよび周参見構造ユニットに区分される。各構造ユニットを構成する地層は,層序を維持することから牟婁層群と総称する。野竹構造ユニットの牟婁層群は,下位から武住層と大瀬層に区分されるが,その放散虫年代は中期始新世である。狼だわ山および市鹿野構造ユニットの牟婁層群は,下位から安川層,打越層および合川層に分けられ,放散虫年代は中期始新世の後半から後期始新世の初期である。周参見構造ユニットの牟婁層群は,下位から小節川層,佐本川層および田並川層に区分され,放散虫年代は始新世後期から漸新世である。このように構造ユニットの年代が,北の構造ユニットから南に向かって,オーバーラップしながら相対的に新しくなる。これらの特徴は付加体にみられるものである。(著者抄録)