抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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「オープンデータ」の運動が世界的に広がつている。その主な対象は,各国の政府機関が保有する公共データである。本特集では,この「オープンデータ」が,どう各分野で具体化され,今後いかなる可能性を持つのかを展望するため,各分野の専門家から意見を求めたものである。第6章では,オープンデータの著作権とライセンスについて述べる。データ活用を進める上で必ず課題となるのは著作権の取り扱いである。そこで政府の実務検討に参画し,また著作物の再利用を促すライセンスとして広く利用されているクリエイティブ・コモンズの推進者である渡辺智暁氏(国際大学)による解説と課題分析を紹介する。政府の著作物は国民が自由に使えるものではないのか,少なくとも非営利目的であればよいのではないか,というのは誤解である。著作権法は広い範囲の表現を権利者の許諾なしに利用できないものと定めているため,法令・判例など著作権法が適用されないものや,政府の広報資料を説明材料として「新聞紙・雑誌などに転載する」以外には,無断利用できるわけではない。従って,オープンデータを実施する上ではパブリック・ライセンスを採用することがほぼ不可欠である。しかし,そのライセンスの内容・要件について,データを利用する者の利便性の観点から考えると,多くの解決困難な課題が存在している。一般人の規範意識や概念・言葉が,著作権法のルールやそれを構成している概念や用語とずれていること,国際的に著作権法が統一されていないこと,など根本的には解決しがたい要因が背景に横たわっている場合もある。そのため,オープンデータを利用する者にとつては,理想的なライセンスが現に存在するということは望みがたいかもしれない。オープン化に用いられるパブリック・ライセンスの歴史はたかだか30年程度であり,まだイノベーションの余地があるが,先は長いだろう。