抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により,風評被害による売り上げの減少など,茶産地は短期間で癒えることができない深い痛手を負った。そこで,埼玉県茶業研究所が原発事故以降の出来事についてどのような見解を持ち,知見を深めていったか及び暫定規制値を巡る問題についての私見を併せて述べた。厚生労働省による抜取り検査の結果,埼玉県産製茶から放射性セシウムの暫定規制値を超える製品があったと発表された。この要因は,「若芽・早摘み」にあるのではないかとの結論に達したが,そこで,消費者の安心感回復のためにも全銘柄の緊急調査を実施することとした。全銘柄1716銘柄の検査を行った結果,暫定規制値を超えた銘柄は112銘柄で,その割合は6.5%であった。暫定規制値を超えた原因は,「若芽・早摘み」,地形的 (山間地,風の吹きだまりなど小地形) 要因が大きいのではないかと推察された。その後,茶園の秋芽などの樹体内の放射性セシウムの動態調査を続けているが,現在すべての茶園で数値が大きく減少してきている。そもそも暫定規制値は,どのように設定されるべきか。1.お茶は飲用が基本で,荒茶や製茶は,通常飲食するものではない。加工過程のものを検査するのではなく摂取する形態のものを検査すべきである。2.生も乾燥も同じ暫定規制値は理屈に合わない。3.暫定規制値は,摂取量を無視しており,摂取量に応じたきめ細やかな規制値を設定すべきである。その後,2011年末に厚生労働省が新規制値案をまとめ,茶については「飲む状態で飲料水の基準値(10Bq/kg)を適用」するとされた。今後も栽培管理指針の発信,生産者に対する個別相談,茶園スクリーニング等を継続し,正しい情報発信により狭山茶の販売促進に役立てたい。