抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本稿では,普通教育としての技術教育を対象として,その技術教育の理念と社会的役割がどうあるべきかについて検討した。技術教育は,発達段階に応じた教育の中にあつて,生涯学習全体における技術開発と価値創造によるイノベーション(革新)へと結びつく創造性を育成する核となるべき教育分野である。しかるに,我が国における普通教育としての技術教育は,中学校3年間のみの実施で,世界的に特異な状況にある。技術の学習によって真の意味での「生きる力」を育むために,技術の学習の重要性に鑑み,就学前教育から高等学校まで一貫した普通教育としての「技術教育」の設置が,将来の日本にとって欠かせない。また,普通教育としての技術教育の目的は,自然および社会の法則を認識して合目的的で技術的な活動を行うための知識や技能に基づいた思考力・実践力とともに,生活や社会に大きな影響を与え,その在り方を規制する要因である技術を公正に評価することのできる能力を備えた人格の形成にある。したがって,そのための基本的事項として,次の能力を育成すべきである。1)技術的課題解決力:これは技術教育で育むべき固有の能力である。技術的課題解決力とは,身近な問題から環境問題に至るさまざまな問題を技術的視点で設定し,課題化して,一定の制約条件のもとで,ものづくり等を通して最適化を図りつつ解決する能力である。2)協同(協働)的な技術活動力:協同(協働)的な学習は,学校全体で行われるべきであるが,技術教育では技術プロジェクトを協同(協働)的に遂行する能力の育成を担う。合目的的な活動である技術プロジェクトにおいては,幼児児童生徒間の協同学習や,地域・社会との協働およびそれらを前提とした分業・分担が目標達成の鍵となる。