抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年東北地方太平洋沖地震のようなM9.0に達する地震は,地震調査研究推進本部による長期予測には含まれていなかった。本論では,不十分であった部分を示しながら長期予測の可能性について議論する。地震動予測地図に対する評価では,一部の活断層地震を別にすると量的な意味からも予測が概ね妥当であったことが示される。3.11の地震については,第1段階の宮城県沖の破壊,第2段階の津波地震,第3段階の福島・茨城県沖の破壊のいずれも,発生確率としての予測は妥当であった。ただし,いずれも規模を過小評価しており,特に3連動によるM9.0の規模が想定外となったのは,比較沈み込み学による先入観に因われてしまったことと,陸上GPS観測からでは海溝近くの固着を捉えきれなかったためと言える。一方で,地震前にも貞観地震の痕跡が発見され,対策への検討が始まっていた。結果的に,防災対策に間に合わなかったという側面はあるが,それ以前に,長期予測による注意喚起が十分には受け入れられてこなかったという点が重要である。また,原子力発電所での災害予測では,実質的に既往最大のみが対象とされてきた点も問題である。