抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
臙脂綿と称される赤色色材の実態解明と復元への一助として,その色素成分と素材を明らかにすべく,各種同定方法を適用して特定を行なった。臙脂綿には天然色素成分としてコチニールとラックが使用されているものを認めたが,古文書で挙げられている紅花,蘇芳,茜に相当する成分はいずれの試料からも検出されなかった。また,非天然染料(合成染料)が用いられているものも認められた。非天然染料が用いられた資料では顕著な量のNaとClが検出され,天然染料であるか否かを見極める一つの指標となりうることを示した。過去に臙脂綿という名称で流通していた色材は,時代とともに用いた染料がラック,コチニールから赤色の合成染料へと変遷し,現存する臙脂綿にも両者が混在していることが明らかとなった。