抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
諏訪之瀬島火山は日本で最も活動的な火山の一つであり,御岳,ナベダオ及び富立岳の3つの火山体系から成る。火山噴出物は玄武岩質輝石安山岩質およびデーサイト質であり,全岩SiO
2含有量は55~67wt%である。K-Ar年代測定によると,火山活動は150ka前後に開始し,60-70kaに現在の諏訪之瀬島と同じ程度の大きさになった。若い御岳火山の主要部は約40-50及び10kaの間の何回かの大規模な火砕質噴火で形成された。歴史に残る最古で最大の噴火は1813年に起こった。北北東-南南西方向に並んだ火口列に沿って御岳山の頂上から噴火が起こり,玄武岩質安山岩マグマを噴出した。噴火はマグマ水蒸気噴火で始まり,準プリニー式噴火となった。噴火は,最大約80mの厚さで2-3km2の範囲を覆う巨大な火砕丘を形成し,有意量の溶岩流を流出させた。噴火の最終段階では,御岳の頂上域が山体崩壊し,岩屑雪崩が島の東海岸まで到達した。歴史に残る2番目の大噴火は1885-85年に発生した。この噴火は,1813年噴火の岩屑雪崩堆積物が直接表面を覆っている御岳火口から流動体の安山岩質溶岩を噴出したことによって,特徴付けられる。1885年以後の最近の噴火は,ストロンボリ式噴火,ブルカノ式噴火,および火山灰噴出の連続的な活動によって,特徴付けられる。これらの活動によって噴出した火山灰は,総計の厚さが0.5-1.0mで島全体を覆っている。地震計,超低周波不可聴音マイク,傾斜計およびGPS受信機から構成される地球物理学的連続観測システムが設置されている。頂上火口を取り囲む4個の広域帯地震計のデータを解析から,5段階から成る火道の浅い部分でのブルカノ式噴火の連続の詳細が判明した;マグマ侵入による火口の膨張,ガスの漏出によるわずかな収縮,火道の頂部でのガスポケット体積と圧力の増加,及び噴火物質の放出による火道の収縮である。2005年の人工地震実験による諏訪之瀬島の下部の地震速度構造は,P波高速度帯が不均質に分布し,火山の複雑な進化歴史を示唆している。この巡検案内書は諏訪之瀬島の火砕流堆積物の幾つかの露頭を紹介し,1813年噴火の層序と諏訪之瀬島火山の発達史を議論した。巡検では御岳山に登り,活動している火口を観察し,地球物理観測サイトを見学し,周辺の1813年噴火の堆積物を観察する。(翻訳著者抄録)