抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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本稿は,「都市仙台」の存在意義と期待に関し,統計データが語りかけることを報告した。先ず,2011年3月に東日本大震災では,仙台市沿岸部は津波による壊滅的な被害を受け,海岸を持つ宮城野区,若林区でそれぞれ305人と338人,他の内陸3区で11人の死亡が確認されたこと等を報告した。次に,夢と使命感のない計画文書への違和感に関し,仙台市は,2003年に,「仙台市都市計画の方針(仙台市都市計画マスタープラン)」を策定し,2008年秋に,「仙台市総合交通戦略会議」が設置され,2009年度には「せんだい都市交通プラン」の主要部分が作られたこと,2010年の夏の時点で,2009年の秋からの新総合計画の改定作業が進んだこと,筆者は,その内容で,人口減少及び高齢化の予測を悲観的に記述することに強い違和感を感じたことを報告した。更に,大都市比較統計に見る仙台市の特徴に関し,外国人登録人口,人口動態,年齢別人口,単身世帯数,産業分類別従業員比率,人口当たりの自動車台数,持ち家率,物価および家計消費支出,幼稚園と保育所について報告した。加えて,仙台の社会・経済の仕組みと役割に関し,仙台は,主に東北地方から学生や若年の独身勤労者を集め床面積の大きくない借家に住まわせ,小売りやサービス業などの第三次産業に就かせて賃金を払っていること,仙台は,近い将来に急速に高齢化することはない半面,雇用の質が急に充実することは期待できないこと,長期的に見れば,地方圏の出生者は減り,大都市圏で生まれた子供の割合が増えること等を報告した。最後に,六魂祭メトロ構想に関し,2011年から東北の各県の6つの祭りを1カ所で楽しめる「東北六魂祭」が企画され,今年も6月1,2日に福島市で開催され,多くの来訪者を集めたこと,そこで,各駅前の交流広場で同一の日程で祭りを開き,地下鉄でこれらの祭りをめぐることを可能にする「六魂祭メトロ構想」の実現性は別にして,東北各県の関係者が郷土の良さをアピールする場を仙台の中に作り,新しい魅力を作り出すことは,今後の仙台の活性化やまちづくりの重要なヒントになることを報告した。
