抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1967年に,箱根カルデラ内の強羅地区で温泉水が急激かつ顕著に上昇するという現象が観測された。この温度上昇は,箱根カルデラ内の温泉の成因を論じた,いわゆる大木・平野モデル(Oki and Hirano,1970)を支持する一つの有力な根拠とされたという点で,重要な意味を持つ。温度上昇は強羅地区にある源泉で1967年5月23日に突然始まった。その後,昇温が始まる1年前,始まって後3年および5年経過した時点での強羅地区の温泉等温線図において,高温域が東側に拡大しているのは,温度上昇した範囲そのものが東へ移っていったことを示すとみなされた。この異常昇温現象について,われわれは,現在,手に入れることのできるすべての観測データを用いて詳細な検討を行い,以下の知見を得た。(1)昇温は調査域の東端部の井戸でもっとも顕著だった。(2)それらの井戸での昇温は1967年以前に始まり,1970年代,半ばまで続いた。(3)昇温が目立ったのは菊川ら(2011)による新しい温泉分類でタイプ2に属する源泉だった。1960年代から1970年代にかけて生じた昇温現象についてのこれらの新たな知見は,板寺ら(2011)によって提案された温泉水の起源に関する考え方と整合的である。(著者抄録)