抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本特集では,ディジタルファブリケーションについて紹介する。前半では,形状設計とモノづくりの要素技術について紹介し,後半では個別分野における具体的な応用例について紹介する。ディジタルファブリケーションとは,レーザカッターや3次元プリンタなどのラピッドプロトタイピング機器の普及,計算機の高速化による物理シミュレーション技術の一般化,レーザスキャナなどの3次元形状計測技術の進歩,およびソーシャルネットワークやインターネット上のサービスによるデータ流通基盤の成熟などを背景にした,計算機を利用した新しい形状設計とモノづくりとして注目を集めているものである。後半最後の第8章では,「パーソナルファブリケーション時代におけるものづくりのオープンソース化の動向とFab Commonsの提案」と題して,技術そのものとは少し離れた視点から,パーソナルファブリケーションにかかわる知的財産権に関する最近の動向について報告する。パーソナルファブリケーションの文化は,ツールの小型化・低価格化と,知識の共有化により進行している。これは,ソースコードのオープンソース化と同様に,モノづくりのオープンソース化も進められていることを意味する。本稿では,その背景および問題点について述べ,さらに,「ライセンス・デザイン」の重要性について解説している。インターネット時代の新しい著作権ルールの普及を目指し,著作権を完全に保護することと,完全に放棄することとの間に,中間的な権利を設定し,創造的な表現を共有しようという考えが示されており,そのような考えを議論する研究グループとして「Fab Commons」を提案している。情報処理技術を活用した新しい形状設計とモノづくりは,古来よりモノづくりを得意としてきた日本人にとって,世界に向けて大きな貢献をすることのできる可能性のある分野である。本特集がきっかけとなって,より多くの方がこの分野に関心を持ち,新しいモノづくりに挑戦していくことを期待したい。