抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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南北に長い日本列島の河川や湖沼には大小様々な魚類が生息し,独特の内水面生態系を構成している。しかし,都市化にともなう水質汚濁,河川流量の減少,河川改修,水田地帯における圃場整備,外来種の侵入など,多くの問題が発生し,生息する魚類は,非常に厳しい状況に直面している。その結果,環境省のレッドデータリストでは,絶滅3種,野生絶滅1種,絶滅危惧167種,準絶滅危惧34種,情報不足33種の238種が掲載されている。これらの希少種をはじめとした生物種を守ることを「保護」と呼び,保護は,野外の生息域などの生態系の状態を保つ「生息域内保全」,保護対象種を研究施設などに隔離して維持管理する「生息域外保存」の2つの概念の下に進められている。淡水魚の保護において,最も優先すべきは保全であるが,急速に進む都市化による生息地の破壊により,保全対策が困難な状況が多く,迅速かつ積極的な保存は不可欠である。さらに保存は単に系統保存を行なうに留まらず,自然生息地では困難な希少種の繁殖や成長などの基礎的な生態情報も得ることができ,復元技術の実証試験も可能である。本報告では,日本産希少淡水魚のうち,特に厳しい状況に置かれているミヤコタナゴ,ゼニタナゴ,ホトケドジョウ,ギバチの4種の保全を目的として,生息,域外保存に関する研究についてとりまとめを行なった。(著者抄録)