抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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持続可能な社会の構築に向けて,現実的な解決策としての原子力エネルギーと放射線利用技術の重要性は,世界の多くの国々で認識され,福島第一原子力発電所事故前は,わが国ではプラント輸出をも含む国際協力を担えるリーダーの育成が求められるようになった。福島第一原子力発電所事故後,東京大学では,原子力以外にも様々な分野の教員が集まり,震災後の工学のあり方について議論し,教訓とすべき根本原因として,以下の2点に着目した;(1)技術と社会の統合化力の醸成:事故を起こさないための設計に努力を払ってきた反面,事故が起きた場合の念のための対策を許容しない絶対安心要求,何かを想定した場合に必ず残るリスクの取扱の未成熟などがある。(2)構想力と斧関する俯瞰力の強化:津波や全電源喪失のシステム安全上の取扱が不十分だった背景には,細部にこだわり重要なシステム欠陥を見逃すアンバランス,分野や組織を横断して全体を見るリーダーが不在,実力を超えた際限のない安全要求などがある。福島第一原子力発電所事故を教訓としてプラントの安全性を格段に高め,それを世界の原子力安全に活かすことができれば,わが国が再び世界から尊敬され,結果として次世代の幸福に繋がるのではないか。これを実現するには,工学教育の上に,国際社会で生きていくための教育と態度が必要である。