抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地震観測と地盤変動観測に基づいて1914年,1946年,1955年以降と3つの特徴的な噴火が発生した桜島火山におけるマグマ供給系とマグマの動きに関する研究について総説する。桜島のマグマ供給系は桜島の北方,姶良カルデラの地下約10kmにあると推定される深部マグマ溜り,中央火口丘下の深さ3~6kmの浅部マグマ溜りおよび南岳山頂火口につながる火道から構成される。上下変動の空間分布と時間変化から,年間10
7m
3のマグマが深部溜りに供給されてきた。浅部溜りは,地盤の上下変動,爆発的噴火直前の火口方向の隆起の傾斜変化や地震波の異常減衰域の存在から推定される。姶良カルデラの隆起に続く桜島への隆起中心の移動と火山性地震の震源の深部から南岳直下の浅部へ移動は中央火口丘下へのマグマの移動・上昇に対応する。中央火口丘下のマグマ溜まりと火口底をつなぐ火道の存在とその大きさをせん断破壊により発生するA型地震と体積膨張に伴うB型・爆発地震の震源位置の違いから推定できる。火道内をマグマがスムーズに上昇して火口底に達した時は,BL型地震を伴うストロンボリ式噴火が発生し,脱ガスしたマグマが火道上部に蓋とガス溜まりを形成している状態でマグマが貫入してきたときはブルカノ式噴火が発生する。いずれの場合も火口周辺の地盤の隆起と伸長が観測され,噴火の発生とともに沈降,収縮へ反転する。マグマの揮発性成分は火道上部のガス溜りの形成と火山ガスの漏洩に伴う圧力低下によって引き起こされるマグマの急激な発泡に重要な役割を果たす。(著者抄録)