抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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CO
2排出量削減目標を達成するために,水素発電と二酸化炭素回収・貯留(CCS)のどちらかを用いるかは,コスト次第である。本研究では,日本が輸入水素を利用することを想定し,エネルギー技術評価(MARKAL)モデルを用いて,2050年までの水素導入ポテンシャルを試算した。次の3ケースを設定した;ケース0:水素導入を見込み,かつCO
2制約を設定しないケース,ケース1:水素導入を見込み,かつ2050年に1990年比65%削減というCO
2制約を設定するケース,ケース1:水素導入を見込まず,かつ2050年に1990年比65%削減というCO
2制約を設定するケース。CO
2制約を設定しないケース0においては,1次エネルギー消費は2010年の497Mtから2050年には38%減の306Mtになる。このケースでは低廉な石炭が最大のエネルギーとなり,その依存度は20580年に36%と2010年から継続的に上昇する。CO
2制約を設定したケース1とケース2では,2050年の1次エネルギー消費量は2010年比45%減と46%減の275Mtと267Mtと,ケース0に比べて10及び13%の減少となる。厳しいCO
2制約を満たすために省エネルギーが強力に推進される。ケース1では,2030年以降徐々に水素が導入されはじめ,2050年には21Mt(816億m
3)の水素が導入される。途上国でのエネルギー需要の急増に伴う化石燃料価格高騰のリスクや,日本国内の火力発電所に対するCCSの導入可能量の不確実性を考慮すれば,エネルギーセキュリティの面と,CO
2排出量削減のための手段確保の両面で,水素利用は重要な選択肢となる。