抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)の主要な目的の1つは,人体のさまざまな部位から採集した16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の参照用データベースの作成であり,それによって微生物学ではマイクロバイオームの変化とヒトの健康状態の変化をよりよく関連付けできるようになると考えられている。HMPコンソーシアムはすでに,300人の健康な成人で,身体部位18か所の単一時点でのヒトマイクロバイオームの構造と機能を報告している。我々はさらに,12~18か月の期間にわたって採集したデータを用い,ディリクレ多項式混合モデルを使用して,このデータを各身体部位の微生物群集タイプに区分することで,3つの重要な観察結果を得た。第一に,乳児期の母乳哺育の有無,性別および教育レベルと,いくつかの身体部位の微生物群集タイプの間には,強い関連性があった。第二に,口腔および腸内のマイクロバイオームの特異的な分類学的構成は異なっていたが,これらの部位で見られた微生物群集タイプは相互に予測可能であった。最後に,試料採集の期間を通じて,口腔内の部位で採集した微生物群集タイプが最も安定しておらず,膣内や腸内の部位での微生物群集タイプが最も安定していた。今回の結果は,個体内の部位間や個人間でヒトマイクロバイオームにかなりの多様性があっても,この多様性を複数の微生物群集タイプに区分できること,また,これらの微生物群集タイプは相互に予測可能で,おそらく生活史の特性の結果であることを明らかにしている。微生物群集タイプの多様性や,個人が特定の微生物群集タイプを持つようになる仕組み,あるいは微生物群集タイプを変化させる仕組みを解明できれば,保有する微生物群集タイプの情報に基づいて疾患リスクを評価したり,個別化医療を行ったりすることが可能になるだろう。Copyright Nature Publishing Group 2014