抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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西日本の丘陵地を中心に分布する湧水湿地は,希少種のハビタットであるのと同時に,地域社会の中で人の営為と関係を持ちながら存続してきた里山の湿地という特色を持つ.地域社会と湧水湿地の関わりを整理すると,空間的・心理的近さから生じる場所を介した関わりの中に,形成・維持に直接関与する生態的システムを介した関わりが存在する.今日の湧水湿地の保全・活用に関する活動もその関わりの構造を踏襲している.活動を担う主体は湧水湿地の存在する場所の地域社会の中に作られた団体であり,森林管理や草刈などかつての生態的システムを介した関わりが再現されている.地域社会が中心となった保全・活用は,湧水湿地本来の姿を維持するために今後も重要である.一方で,湧水湿地の関心層を増やして保全・活用をさらに推進するためには,個々の湿地の情報を広く発信することや,地場産業と結びつけた複数の湿地をめぐるジオツアーの実施のように,広域的視点での活動も求められる.(著者抄録)