抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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水利用の猶予期間という考え方を導入することにより定義された水ストレス指標を用いて,定常的な生産(フロー)と個々の製品(ストック)について水資源消費の指標として拡張ウォーターフットプリント(EWF)及び占有ウォーターフットプリント(OWF)を提案した。EWFは水利用のフローに対応し,OWFは単独の水利用つまりストックに対応する。事例研究として徳之島のサトウキビ栽培及びそれを原料とするバイオエタノール生産を取り上げ,その水利用に関する持続可能性を評価した。提案した指標について,従来の方法による水資源消費の指標と比較し,その環境影響領域としての実用可能性を示した。サトウキビ栽培過程のフォアグラウンドについて,本研究の方法により求めたEWFは,グリーンウォーター(GW)と比較してブルーウォーター(BW)の数値が高く,特に夏季において高かった。水利用の猶予期間を考慮しない従来のWFの考え方で評価したEWFにおいて,ある時間単位で区切った水収支を用いた場合,年単位や月単位では平均化されるために問題が顕在化しないが,日単位では極端な結果を示した。これに対して本研究の方法においては,猶予期間を正確に評価することができれば,分析結果は原則として単位時間のとり方に依存しないことが分かった。EWFの結果を積算したOWFの値から,サトウキビ栽培に関する水利用の持続可能性は,トータルでは満たされており,貯水などの適切な水資源管理により渇水の問題が回避可能であることを示した。サトウキビを原料としてバイオエタノールを製造した場合のOWFをライフサイクルアセスメント(LCA)により評価したとき,栽培以外の数値は小さく,水資源消費の負荷のほとんどが栽培過程によるものであることが分かった。LCAによる全過程のOWFの数値からもトータルでの持続可能性が維持されることが分かった。今回開発した水資源消費の指標により,日単位での水ストレスの変動を解析することが可能となった。