抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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万葉集に詠まれた越中の景観を見出すことを目的に,地名が詠まれている歌85首から抽出した語句をもとに,景観の物理的特性や,景観から想起する感情について定量的分析を行った。85首の歌は春の歌が多く,景色のみを詠んだ歌のほかに,景色になぞらえて信仰や恋など他の感情を詠んでいる歌が多い。海では,波や風を伴う風景や,海人の漁の様子を詠んだ歌が多く,また,波に恋心を重ねて詠んだ歌もみられた。水海は海のように広く,友と舟遊びを楽しむ場でもあった。山では自然の情景や山の神性を詠んだ歌が多い。川は,清い水の流れや激しい流れを詠んだものと,漁の見物などの川遊びを楽しむ歌が詠まれている。さらに,地形ごとに主な地名について景観表現語句から地域特性を見出した。(著者抄録)