抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,クラウドサービスにおいて問題となるTCPインキャストの回避方法を検討する。分散ファイルシステムでは,データブロックが,SRU(Server Request Unit)と呼ばれる単位に分割され,複数のサーバ上に保存される。そのため,データプロックの読み込みの際,複数のサーバからクライアントに向けて一斉にパケットが送信される。これにより,クライアント側リンクでは複数のサーバから大量のパケットが到着することになり,バッファオーバフローが発生し大量のパケットが消失してしまう。このため再送を行うが,パケットが消失してから再送タイムアウトが発生するまでの長い間,クライアント側リンクではパケットが送受信されず,グッドプット(単位時間あたりのデータ転送量)が大きく低下するという問題が発生する。これをTCPインキャストと呼び,データセンターネットワークの通信品質低下の主要因となっている。クラウドサービスにおいて,電子商取引システムが運用するネットワークの通信品質が劣化すると,莫大な経済的損失が生じることがある。例えば,Amazonではクライアント・サーバ間の遅延が100ms増加すると売上高が1%減少するとの報告がある。そのため,データセンターネットワークの通信品質を良好に保つことは必要不可欠である。そこで,本研究では,TCPインキャストを回避する手法として完全直列化法,準完全直列化法,最適直列化法の3つの手法を提案し,シミュレーションによりそれらの性能を評価した。これらの手法は,クライアントがコネクション設定を直列化することでTCPインキャストを回避する方法であり,一般的なデータセンターのBDP(Bandwidth Delay Product)は小さく,SRUサイズが大きい場合には,1コネクションでも帯域を十分に利用できることに基づいている。