抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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福島第1原子力発電所事故による放射能汚染において県土面積の7割をしめる森林の除染は難しく,殆ど手つかずのままである。本研究では,森林域における放射能汚染の特徴を明らかにして除染対策や下流域の2次汚染に役立てるため,落葉樹および常緑樹を対象として葉に含まれる放射性セシウム濃度を調査した。また,放射性セシウムの溶出特性の把握や樹木中のリグニンやセルロースに含まれる放射性セシウムの定量を行った。樹木葉の採取はいわきフラワーセンターで2012年8月10日に採取した。落葉広葉樹のイロハカエデ,ソメイヨシノ,クヌギなどはいずれもCs137濃度は検出限界以下であった。一方,常緑広葉樹のスダジイ,モチノキ,針葉樹のカヤ,マツ,ヒノキ,スギについてはCs137が検出された。広葉樹に比べて常緑広葉樹や針葉樹は葉に含まれるCs137が高く,さらに葉の形状が複雑な針葉樹の葉が高い濃度を示す。事故前に展開した常緑樹の葉はCs137濃度が高く経年的の濃度は低下する傾向があった。常緑樹の葉に含まれるCs137の一部は水中へ溶出するが,葉中の木質成分に含まれるCs137は容易には溶出しない。針葉樹の葉に含まれるCs137は葉中のリグニンやセルロースに多く含まれる。これら木質成分の分解を受けない環境下では,樹木葉からCs137の溶出が少ない可能性が示唆された。