抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鹿児島県垂水市に位置する鹿児島大学農学部附属高隈演習林のマテバシイが優占する常緑広葉樹林と隣接するスギ人工林において,ヒメネズミの生息状況と貯食活動について調査した。ヒメネズミのみが利用できるフードステーションに2010年8月,9月,2011年8月,12月に設置された堅果が,それぞれ6.6±4.2m,5.1±2.0m,5.3±3.3m,19.5±10.8m運搬され,フードステーション付近で活動していた個体の行動圏内で,貯食または採食された。分散貯食された堅果の貯食場所は,29.6%が地表,59.3%がリター下,11.1%が地表から深さ5cmまでの地中で,集中貯食されていた場合の貯食場所は,27.3%が地表から深さ5cmまでの地中,24.2%が深さ5cmから10cmまでの地中,48.5%が地表から10cm以上深い地中であった。これらの結果から,ヒメネズミの貯食活動は,同所的に生息するアカネズミより運搬距離は短いものの,同じような特徴を持つことが明らかになった。ヒメネズミは種子散布者として働き得るが,発芽するものの実生の定着が困難な深さ10cm以上の地中に貯食することもあるヒメネズミの貯食活動は,マテバシイの実生の定着を阻害する可能性を持っているとも考えられた。(著者抄録)