抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本人間工学会は「人間工学研究のための倫理指針」を策定し,学会ホームページで公開している。この策定は医学,心理学分野の研究倫理指針に比べると後発的ではあったが,内容に具体性を持たせた実用重視の視点は特徴的である。本稿では,工学分野において人を対象にした研究の倫理が重視されるに至った経緯に触れながら,人間工学分野における研究倫理指針について紹介した。まず,医学・医療分野における倫理指針や規定整備の流れ,次に,人間工学研究における倫理的配慮の変遷についてレビューし,倫理指針の必要性と策定に至る経緯を述べた。倫理指針の策定にあたっては,1)指針の内容は学会としての推奨事項とし,その運用は個々の研究実施機関や研究者の自主的対応に委ねる,2)人間工学研究の多様性や幅の広さ,実践場面での実用性をできる限り重視して,具体的事例を多く盛り込んだ内容とする,3)企業や団体がその業務の一環として,大学等で教育の一環として人を対象に実験,観察,調査を実施する場合は対象外とする,ことを基本方針とした。指針の特徴は,1)人間工学研究計画書の作成,2)研究実施の際に留意すべき事項(被験者の保護,実験・観察・調査の中止,実験・観察・調査終了後の対応など),3)既存データの利用についての原則などである。指針策定後,日本人間工学会では論文投稿既定の中に倫理的配慮について明記したが,倫理承認審査の義務化は検討事項となっている。