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J-GLOBAL ID:201402226530516849   整理番号:14A1088864

海馬の文脈記憶エングラムに連合した誘意性の両方向性切り替え

Bidirectional switch of the valence associated with a hippocampal contextual memory engram
著者 (10件):
資料名:
巻: 513  号: 7518  ページ: 426-430  発行年: 2014年09月18日 
JST資料番号: D0193B  ISSN: 0028-0836  資料種別: 逐次刊行物 (A)
発行国: イギリス (GBR)  言語: 英語 (EN)
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記憶は,本質的に情報の再構築を行う性質を持つことから,その誘意性は変わりやすい。このような記憶の性質は,不適応行動の治療のために臨床的に利用されてきた。しかし,記憶の誘意性の切り替えを可能にする神経機構や脳回路は,ほとんど未解明である。今回,その機構について,最近開発された記憶エングラム細胞を操作する手法を用いて解析を行った。文脈的な恐怖条件付けや報酬条件付けの際,特異的な活性化が見られる海馬の背側歯状回(DG)または扁桃体基底外側複合体(BLA)の一群の細胞を,チャネルロドプシン2(ChR2)で標識した。恐怖条件付けを施した場合,両群のマウスとも,光遺伝学的な場所回避試験で光依存的な嫌忌応答を示した。報酬条件付けを施した場合も,DGを標識したマウス,BLAを標識したマウスの両方が光遺伝学的な場所嗜好試験で欲求応答を示した。次に,同一個体内で記憶の誘意性を逆転させる試みとして,最初に文脈恐怖付けまたは報酬条件付けで,DGまたはBLAにエングラムを作ったマウスに対し,青色光でDGまたはBLAのエングラムを再活性化しながら,逆の誘意性を持たせた2度目の条件付けを施した。その後,光遺伝学的な場所回避試験または嗜好試験を行ったところ,DGにエングラムを作った群では,記憶の誘意性の切り替えを示す応答が得られたが,BLAにエングラムを作った群では得られなかった。この切り替えは細胞レベルでも明らかで,DGでエングラムを持つ細胞とBLAでエングラムを持つ細胞の間で,機能的結合が変化したのである。すなわち,DGでは,中立的な文脈の記憶エングラムを持つニューロンは可塑性を備えていて,その再活性化によって誘発される条件応答の誘意性は,この文脈的記憶エングラムを,逆の誘意性を持った新たな無条件刺激と再連合することにより逆転させることができる。今回の研究は,情動記憶の順応性の基盤となる機能的神経回路に関する新たな手がかりを提供する。Copyright Nature Publishing Group 2014
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