抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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外部レーザー場の中に置かれた原子や分子の電離は,最も基本的なプロセスの一つである。光電離の歴史は,フォトンのエネルギーが電離ポテンシャルよりも大きい場合に電子が原子核から逃げ出す描像で示されるアインシュタインの光電効果まで遡る。レーザー技術の進歩によって,高密度のフォトンを持つ光の利用が可能になり,原子や分子は1個以上のフォトンを同時に吸収する,いわゆる多重フォトン電離が起こる。本稿では,1個および2個のUVフォトンによって誘起されるH
+2の電離率の反転を研究した結果を報告する。強いパルスUVレーザー中におけるHの電離を,時間に依存するSchroedinger方程式を,数値的に解くことによって研究した。シミュレーションの結果から,ヤングの2重スリットによる干渉効果と同じように,2つの核から電離した電子は,UV光の振動数に依存して建設的に,あるいは破壊的に干渉することが分かった。結果として,レーザー振動数の関数として,電離率が変動することが分かった。破壊的な干渉効果によって単一フォトン電離率は抑制され,結果として,2個のフォトンによる電離率が単一フォトン電離率を上回ることが判明した。このような電離率の反転が起こると,電子の運動量スペクトルは幾つかのピークに分離することが分かった。この現象は,2個の中心を持つ分子において一般的に起こり得ると予想される。