抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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小型コウモリを飼育する際に彼らに自力採食させることは容易ではない。しかし,コウモリへの教育と訓練によって,差し餌に依存した飼育形態から,自力採食による飼育に切り替えることが可能である。ところが,キクガシラコウモリRhinolophus ferrumequinumは差し餌以外の方法で飼育することができなかった。著者は,餌料昆虫を探索する際に彼らが使用する超音波の特性に原因があると考え,超音波を透過・吸収すると考えられる様々な被検試料,ならびに他のコウモリ類の飼育で常用しているプラスチックトレイの上に餌を置き,コウモリの認識反応を見る実験,自力採食させる実験,ならびに自力採食による継続飼育を行なった。その結果,ナイロン繊維をマット状に加工した試料の場合にのみ,餌料昆虫の認識と採食を確認することができた。また,同ナイロン繊維のマット上に餌料を置くことで,自力採食による飼育が可能であった。自力採食による飼育が安定した後,再びプラスチックトレイからの餌料昆虫の認識・採食を試みたが,認識・採食することはできなかった。ナイロン繊維マットは多孔性吸音材として働き,コウモリが発した超音波を吸収したことによって餌料昆虫からの反射音のみがコウモリに認識され,試料上の餌料昆虫を判別できたものと示唆された。吸音性の給餌台を用いることでキクガシラコウモリの自力採食による飼育が可能であると考えられる。(著者抄録)