抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
農耕地等で使用される農薬成分の一部が水系などへ移行し,飲料水源の汚染や生態系へ悪影響を及ぼしているのではないかという懸念が強まっている。このような農薬による影響を評価するためには,「農薬の毒性」と「人や生態系を構成する生物が曝露する農薬濃度」の両者を把握する必要がある。本稿では,わが国の主要な農耕地である水田で使用する農薬を対象とし,筆者らが開発した水田一筆および河川流域における動態予測モデル(PADDYおよびPADDY-Large)について報告する。農業の現場において農薬の適切なリスク管理を行うためには,現状の農薬使用に伴う生態リスクを定量的に評価し,各種の管理対策(農薬の使用回数を減らす,農地からの農薬流出防止の措置をとる,など)によるリスク低減効果を把握することにより,各地域の条件に適した効果的な管理対策を選択していくことが望ましい。しかし,現状ではこのような選択を可能とする評価手法は確立されていない。本稿では,河川生態系の様々な生物種に対する農薬の感受性を統計学的に解析し(種の感受性分布),農薬の生物多様性に対する影響を評価する手法について,筆者らの研究事例を報告する。最後に,リスク低減効果の高い管理対策の選択を支援するツールの構築に向けて,PADDY-Largeモデルと種の感受性分布を用いた影響評価手法とを組み合わせた,農薬の定量的生態リスク評価法開発の取り組み状況について述べる。(著者抄録)