抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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CRISPR関連タンパク質Cas9はRNA誘導型のエンドヌクレアーゼで,ガイドRNA中にある長さ20ヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を持つ二本鎖DNAを切断する。Cas9は,ゲノム編集や遺伝子発現制御に幅広く使える分子的手段であることが明らかになってきた。RNAに誘導されるDNAの認識と切断には,標的DNA中にPAM(protospacer adjacent motif)が存在しなくてはならない。今回我々は,化膿性連鎖球菌Streptococcus pyogenesのCas9が1分子のガイドRNA,および典型的な5′-NGG-3′PAM配列を含む標的DNA1分子と複合体を形成した状態の結晶構造を決定した。この構造から,PAMモチーフは塩基対形成したDNA二本鎖領域中にあることが明らかになった。ガイドRNAと非相補的な鎖の中にあるGGジヌクレオチドは,その主溝とCas9のカルボキシ末端ドメインの保存された残基との相互作用によって読み取られる。PAM二本鎖の副溝と標的DNA鎖の+1の位置にあるリン酸ジエステル基との相互作用が,PAMのすぐ上流で局所的に鎖を開くのに関わっている。これらの観察結果は,PAMに依存して起こる標的DNAの解離とRNA-DNAハイブリッド鎖形成の仕組みを示唆している。またこれらの知見は,新規なPAM特異性を持つCas9酵素を合理的に作成する際の枠組みとなる。Copyright Nature Publishing Group 2014