文献

J-GLOBAL ID：201402242616395047   整理番号：14A0618153

滋賀県犬上川下流域におけるハリヨGasterosteus aculeatus microcephalusの季節消長と生息場所利用

Habitat use of a landlocked threespine stickleback ‘Hariyo’ at the lower region of the Inukami River, Shiga Prefecture, Japan.

著者 (4件)： 上野篤史 (三重大 大学院生物資源学研究科) ,  金尾滋史 (滋賀県琵琶湖博物館) ,  久米学 (岐阜経済大) ,  近雅博
資料名： 地域自然史と保全  (Bulletin of Kansai Organization for Nature Conservation)
巻： 34  号： 1  ページ： 3-12  発行年： 2012年06月30日 
JST資料番号： F1336A  ISSN： 2187-2910  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： ハリヨGasterosteus aculeatus microcephalusは,イトヨ太平洋型の陸封化集団とされ,滋賀県および岐阜県の湧水域に生息する希少淡水魚である。本研究では滋賀県の犬上川下流域に生息するハリヨの季節消長や生息場所利用について調査を行った。犬上川下流域には,本流とその周辺に点在する湧水ワンドという異なる二つの生息環境が存在し,ハリヨはいずれの環境でも確認された。湧水ワンドに出現したハリヨの体長組成は調査期間を通じて二峰型を示し,稚魚,未成魚,成魚が確認された。一方で,本流に出現したハリヨの体長組成は単峰型であり,未成魚が中心であった。また,標識調査によりハリヨが本流と湧水ワンドを行き来していることも確認され,特に本流から湧水ワンドへ移動した個体の割合が多かった。これらの結果から,犬上川におけるハリヨは本流を成長場所として,湧水ワンドを成長及び繁殖場所として利用していると考えられた。このような観点から犬上川におけるハリヨ個体群を保全するためには,本流と湧水ワンドという二つの異なる環境の維持,そして本流と湧水ワンドとの連続性を維持することが必要であると考えられた。(著者抄録)

シソーラス用語： *淡水魚 ,  *滋賀県 ,  *岐阜県 ,  *湧水 ,  調査 ,  稚魚 ,  成体 ,  体長 ,  繁殖行動 ,  *環境保全
準シソーラス用語： *ハリヨ ,  成魚 ,  *生息調査 ,  繁殖

分類 (3件)： 生態系  (EE01040P) ,  個体群生態学  (EE03030S) ,  環境因子の生物影響一般  (EE04010D)

引用文献 (34件)：

• 安東新吾・倉茂好匡. 2007. 滋賀県犬上川河口部の掘削凹地における地形の形成過程. 地形, 28 : 143-183.
• Bell, M. A. & S. A. Foster. 1994. The evolutionary biology of the threespine stickleback. 571pp. Oxford University Press, Oxford.
• 岐阜県健康福祉環境部自然環境森林課. 2001. 岐阜県の絶滅のおそれのある野生生物-岐阜県レッドデータブック-. 350pp. 岐阜県公衆衛生検査センター, 岐阜.
• Harvey, B. C. 1987. Susceptibility of young-of-the-year fishes to downstream displacement by flooding. Transactions of the American Fisheries Society, 116 : 851-855.
• Higuchi, M. & A. Goto. 1996. Genetic evidence supporting the existence of two distinct species in the genus Gasterosteus around Japan. Environmental Biology of Fishes, 47 : 1-16.

タイトルに関連する用語 (5件)： 滋賀 ,  下流域 ,  Gasterosteus ,  季節 ,  生息場所利用