抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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長距離秩序もスピンギャップ状態もないスピン系,いわゆるスピン液体の理論についてまとめた。スピン液体は反強磁性三角格子,カゴメ格子,パイロクロア格子のようなフラストレーション(三つ巴,三すくみ)をもつ系であるが,フラストレーションの度合いによっていくつかに分類される。価電子結合が格子状に敷き詰められているという状況では,価電子結合固体(VBS)と同じであるが,その位置が固定されておらず,量子力学的な重合せとなっているのが共鳴価電子結合(RVB)状態である。RVB状態の応用として,超伝導ギャップを0とするとスピノンFermi面となる。超伝導ギャップがd波超伝導のようなノードをもつと,スピノンDiracコーンと呼ばれる状態になる。これら二つのスピン液体状態では,スピノンがゲージ場と結合するとして場の理論的な議論もなされている。非常に特異なRVBタイプII状態は理論的に未解明であるが,カゴメ格子で実現しているのではないかと考えられている。有機物でのスピン液体は異方的二次元三角格子上で実現されているが,明瞭な分類はなされていない。著者はスピノンFermi面に限りなく近いRVBタイプIではないかと考えている。