抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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漏生イネ防除技術の開発に資するために,インド型品種「タカナリ」と日本型品種「萌えみのり」の種子を,石灰窒素に水を加えて調製したシアナミドを含む水溶液 (CS) に浸漬し (CS処理) ,その後に発芽試験を行うことで,種子休眠性と発芽能力に及ぼす石灰窒素の影響を検討した.15°C条件で5日間のCS処理を施すと,両品種とも置床後20日目の発芽率は,CS中のシアナミド濃度が170~340 mg L
-1の場合に高く,340 mg L
-1を超えると次第に低くなった.また,CS中のシアナミド濃度が3140~3377 mg L
-1の場合,置床後20日目の発芽率は,0.5~3日間のいずれかのCS処理期間で高く,その期間を超えると低くなった.これらのことから,石灰窒素は,処理量や処理期間に応じて水稲種子に対して休眠覚醒効果とそれに続く発芽阻害効果を持つことが明らかになった.こうした石灰窒素の特性から,水稲収穫後の石灰窒素散布は,圃場に残留した種子を休眠覚醒させて冬季に種子が死滅しやすくなる,あるいは種子の発芽能力自体を消失させる効果を有することが示唆され,漏生イネ防除に利用できる可能性が示された.CSの影響の程度には品種間差異があり,また同一品種でも用いる種子の生産年次や休眠程度によって差異があったことから,今後,圃場レベルの石灰窒素を利用した漏生イネ防除技術を検討する上で留意する必要があると考えられた.(著者抄録)