抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,シンガポールのマンション解消・敷地一括売却制度とその運用実態について報告した。先ず,シンガポールにおける住宅事情とマンションの位置づけに関し,シンガポール住宅タイプは,主として,1)HDB(Housing Development Board)が供給する国民住宅,2)コンドミニアム,3)土地付き・一戸建て住宅,4)土地付き・連棟住宅の4タイプに分類されることを報告した。次に,老朽建物の再開発ニーズと住宅の再開発の手法に関し,HDB住宅の再開発制度,マンションの再開発制度としての一括売却制度について報告した。更に,マンション一括売却制度の実績と日本の建替え制度との比較に関し,一括売却の実績,日本のマンション建替え制度との比較について報告した。加えて,一括売却制度の一般的な手続き及びスケジュールに関し,ポテンシャルの評価,第1~3回目の臨時総会の開催,一括売却の署名同意の取り付け,所有者説明会の開催,売却の準備と公募入札の開始の手続き,公募入札の締め切り・審査及び所有者説明会,合意形成活動の継続と終了,STB(分譲住宅登記庁)への一括売却命令の申請と調停,高等裁判所への提訴等,売買契約の成立,明け渡しについて報告した。それから,一括売却の合意形成に関わる事業者と購入事業者の分離,Share Valueの概念,100%同意が得られなかった場合の調停等の手続きについて報告した。最後に,シンガポールでは,稠密な土地利用,経済の急激な成長,人口の急増を背景に土地の有効利用ニーズがますます増大していること,シンガポールと日本では,社会経済情勢や住宅市場でのマンションの役割等は異なるが,社会経済の動向に応じて臨機応変に,必要な法的手当てを迅速に行ない,その運用を経つつ,さらに適宜改善を行い,国民生活の改善と,経済の発展に取り組む姿勢には,大いに学ぶべきものがあることを報告した。