抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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災害時には,公共に設置されるトイレに依存せずに済む排泄処理の自立が,特に都市部や高齢者,女性,子どもにおいて望まれる現状から,身近な生活用品を利用した「マイ・トイレ」の実用化を目指して実験・検討を行った。「マイ・トイレ」の吸水部には成人用紙おむつ(尿とりパッド)を用い,1セットの「マイ・トイレ」には1人1日分の排尿を行い,廃棄物が収集されるまで各自で保管する,という仕様とした。保管期間に悪臭や不衛生さを抑制するための併用品2種(先行研究において有用である可能性が示唆された,木材成分のペット用トイレ砂および泡状酸素系衣料用漂白剤)について併用量を2条件,さらに季節を2条件設定し,1日分の尿を「マイ・トイレ」に注入(250ccずつ3時間30分おきに5回)後,24時間ごとに24日後まで,マイ・トイレの袋内のアンモニアガス濃度の測定,臭気強度および快・不快度の判定を行った。その結果,木材成分のペット用トイレ砂の併用では,季節に関わらずに,アンモニアガス発生の抑制効果および不快な臭気を抑制する効果が明瞭に認められ,併用量の目安は「1日のうちの初回の排尿前に200cm
3を敷きつめる」,と判断した。その一方で,備蓄時にかさばる点,および排尿に伴う吸水のために膨潤してさらにかさばる点が欠点であった。泡状酸素系衣料用漂白剤の併用では,季節に関わらずに不快な臭気の抑制に効果がある一方,特に夏には明瞭な併用効果にまでは至らず,併用量の目安は「排尿ごとに6回前後の噴射」,と判断した。しかし,排尿面が変色しないことにより精神的な不快感が抑制される点,およびローリングストック法が適用できる点が長所であった。また,「マイ・トイレ」にて1日分の排泄を終えた袋は,さらに別のボックスまたは別の袋に入れることで,不快臭の漏れを概ね防いで保管できる,という可能性を示した。「マイ・トイレ」の経費は,災害用の市販トイレよりも安価であることから,市販トイレよりも合目的的かつ日常生活と連動した実用性が高い,と判断できた。以上より,身近な生活用品を利用した「マイ・トイレ」1人分用として,蓋付きポリプロピレン製ボックス(直方体)に,ポリエチレン製袋,成人用紙おむつ,併用品,付随品(トイレットペーパー,手指消毒用エタノールスプレー)を備蓄しておくことを提案した。(著者抄録)