抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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分光器は大きく2つのタイプに区別される。グレーティングを用いて光を波長ごとに空間的に分割するもの(分散型)と,マイケルソン型干渉計を用いて光の位相情報を利用する方法(フーリエ分光,あるいはFT-IR)である。フーリエ分光は分散型に比べ単一の検出器で多波長を同時に分光できるという長所を持ち,分子の吸収線が多い赤外領域でよく用いられている。フーリエ分光は1970年頃から開発され,今では製品化も進み,広く普及している。フーリエ分光の周波数分解能とデータ取得スピードはそれぞれ遅延ステージを動かす距離(相対位相変化量に対応)と遅延ステージを動かすスピードで決定する。したがってより高い分解能,速いデータ取得を行いたいならば,遅延ステージを高速に,かつ長い距離動かせばよい。ただし,機械的にステージを動かしている限り,現在のフーリエ分光の性能を桁オーダーで改善することは困難であろう。2つの光の相対位相変化を自動的に,かつ広い範囲にわたって測定することは可能であろうか?答えはパルス間隔が異なる2台の超短パルスレーザー(以下,光周波数コムと呼ぶ)を用意すればよい。2台の光周波数コムの出力を重ね合わせたとき,それぞれのレーザーからのパルスが完全に時間的に重なるとする。このとき,1つ後のパルス対は時間的に少しずれる。なぜなら光源としてパルス間隔が異なるレーザーを用いているからである。さらに1つ後のパルス対はさらに時間的に少しずれる。このようにパルス間隔が異なる2台の光周波数コムを用いれば,遅延ステージを機械的に動かす必要なく,2つの光の相対位相に変化をつけることが可能となる。これによりフーリエ分光に比べデータ取得時間は桁オーダーで短縮される。この方法は2台の光周波数コムを用いるのでデュアルコム分光と呼ばれる。ここまではデータ取得時間の高速化に関する話だが,光源として光周波数コムを用いることで相対位相変化量も非常に大きくすることができ,周波数分解能も非常に高くできる。これはパルス間隔,キャリア位相を高精度に制御した光周波数コムの位相のコヒーレンス時間が非常に長いことに由来する。...(著者抄録)