抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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常圧における炭酸カルシウム(CaCO
3)のI相(方解石)はW.L.Bragg(1914)によって結晶構造の解析が行われたが,CaCO
3には800-1000°Cの領域にIV相(Mirwald,1976)及び1000°C以上の領域にV相(Boeke,1912)の常圧高温相が存在するとされていた。しかし,単結晶試料を合成し単結晶X線構造解析を実施する困難のため,長い間,未解明のままであった。2013年石澤,瀬戸口及び柳澤によって単結晶高温X線回折法を用いて,初めてIV相及びV相の結晶構造が明らかにされた。本稿は石澤ら(2013)の原著論文の日本語解説版である。IV相は,空間群がI相と同じくR3c,安定な温度領域は985K-1240Kであり,CO
3基の配置状態に乱れが有るのが特徴的である。V相は空間群がR3m,単位格子はI相及びIV相に比べてc軸の長さが半分である。CaとCの格子はしっかりと組上っているのに対し,Oのなす副格子は溶融しているのが特徴的である。即ち,酸素は炭素の周りのうねった円軌道上に沿って「流れる」だけである。常圧における安定領域は,下限がIV相との境界の1240Kで,上限の範囲は未定である。