抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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電気学会が創設されて125年,この間に,日本の電気技術は,社会的な要請に応え,時代の課題を克服しつつ,社会とともに発展を遂げてきた。本特集では,改めて社会に対する貢献と責務を認識しつつ,その歴史を振り返り,今後のさらなる展開を考えていく。日本において,電気技術は江戸時代に始まる。平賀源内による電気器械「エレキテル」の製作,橋本曇斉による本格的な電気の研究,さらに佐賀藩や鹿児島藩における電信機の制作・通信実験などが.明治以降の電気技術の速やかな導入の呼び水となった。明治維新後,政府は伊藤博文らが主導して電信の普及を進め,明治2年には横浜-東京間で電信の運用を開始した。その2年後,長崎-上海間と長崎-ウラジオストック間に海底電線が敷設され,日本は世界の情報通信ネットワークにつながり,さらに2年後には,東京-長崎間の陸上電信線を完成させた。電力の利用は,電燈から始まった。エジソンが電気事業を始めてから遅れること5年の1887年,東京電燈(株)が東京下町に給電を開始した。翌年には神戸,翌々年には京都,大阪,名告屋など各地で民間の電燈会社が誕生して日本の電化生活が始まった。明治6年に,指導的科学技術者の養成機関として,工部省工学寮工学校が開校し,電信科ではエアトンによる指導が始まり,東京大学工学部のルーツとなった。創業時の電信機はすべて外国製であったが,工部省は機器の保守と国産化を目的として,電信寮に製機科をおき,お雇い外国人の指導で電信機の修理を始めた。この工場の技術者達が独立して作った工場が,沖電気,アンリツ,明電舎,東芝など日本の電機会社のルーツとなった。このように,我が国の技術開発は,ほとんどの分野で技術導入からスタートしたが,やがて独自の価値観,工夫による研究開発を重ね,最終的に欧米先進国を凌駕する技術を達成した分野も出るようになった。