抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本における交通事故による死者数は,若い年齢層や青・壮年では減少傾向にあるが,高齢者では逆に増加しており有効な対策が望まれている。高齢者ドライバーの事故を減らすために,高齢者ドライバーの心理的特性に着目し,注意力を改善させる方法について検討した。従来技術としては,音声や表示を用いる方法や特殊な香りで覚醒効果を促すもの等があった。しかし,これらの方法は,注意力が下がったことを確実に検知できないと間違った警告や表示になりドライバーを却って危険な状態にしたり,煩わしく感じさせたりする可能性があった。注意力が下がったことを検知して対応するのではなく,現在の注意力には関係なく,リスクが予想される地点近くで常に注意力を向上させる“予防的な方法”を用いることでリスクを軽減させることができると考え,高齢者ドライバーに持続的に注意力を向上させる方法として,“指差し呼称”を用いる方法を提案する。指差し呼称は,乗り合いバスのドライバーが発車時などの安全確認用として既に一部利用されているが一般車への利用報告はあまりなく,定量的に評価した研究例は少ない。本研究では,その効果を,1)VAS(Visual Analog Scale),2)自律神経活動,3)NIRS(Near-infrared spectroscopy)による脳活動評価,の3点から検証した。その結果,自律神経活動では個人差が大きく変化が余りみられなかったものの,VASの主観的調査では注意力の改善が認められるとともに,NIRSによる評価では,前頭葉の脳活動の賦活が観測され一定の効果が認められた。(著者抄録)