抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,非赤枯性溝腐病とその病原菌チャアナタケモドキについて明らかとなった知見をまとめ,今後の課題について検討した。1.本病に対する罹病性は品種間差があり,千葉県以外の地域で,初めて「サンブスギ」とは異なるクローンのスギで罹病が確認されたことから,本病の発生は「サンブスギ」や千葉県に限定されるものではなく,他のクローン及び地域においても問題となる可能性が示された。2.非赤枯性溝腐病の病原菌であるチャアナタケモドキのDNA分析を行った結果,Fomitiporia punctataからFomitiporia torreyaeと改訂され,全国的に問題となっているナシの萎縮病,和歌山県や奈良県で発生しているコウヤマキの枝枯れの病原菌と同一であることが判明した。関係地域と連携したチャアナタケモドキに対する防除方法の確立が必要であろう。3.感染源となるチャアナタケモドキの子実体は林地で積載された被害材に発生しやすいことが明らかとなった。被害材の搬出・利用の推進が必要であり,暗渠の疎水材など,多方面の利用を促進していくことが課題である。また,搬出にいたらない場合の子実体発生を防ぐような林地残材の処理方法と,発生した子実体に有効な防除資材を明らかにする必要がある。4.育種面においては,「サンブスギ」の優良な形質を受け継ぐ抵抗性品種を作出し,複数の品種による病害に強い森林づくりを行っていくことが今後の課題となる。(著者抄録)