抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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高分子系材料では,すでに塗料の分野で自己修復性を特徴とした製品が実用化されている。これらの市販製品では,表面に傷を与えても迅速に回復することが目視で確認できるが,多くの場合,物理的に破損している傷を修復している例は少なく,そのほとんどは与えた外力を変系によって吸収し,さらにそれを弾性回復させることによって傷が修復しているように見えているケースが多い。本稿では,物理的に切断した部位の自然治癒を対象として解説した。自己修復性高分子にはイソタクチックポリプロピレンのようにガラス転移温度が室温以下である結晶性高分子の場合,外部応力により発生した応力白化は時間とともに修復していくことが知られている。ここでは,熱可塑性樹脂の流動を利用する方法と分子拡散を利用する方法を紹介した。後者では,サーマル・ヒーリングとソルベント・ヒーリングとダングリング鎖を利用する方法がある。熱可塑性樹脂の流動を利用する方法では,熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合する方法が提案されており,エポキシ樹脂とカプロラクトンを用いた系が報告されている。ゾル-ゲル転移の臨界点をわずかに超えた緩いゲルには,弾性に寄与するネットワーク鎖に加え,弾性に寄与しない片末端自由なダングリング鎖と呼ばれる部分鎖が数多く存在し,このダングリング鎖がからみ合い点間分子量を超えると,隣接する分子鎖とからみ合い相互作用を示す。このようなからみ合いは「束縛されたからみ合いと呼ばれ,緩和時間が長いために力学特性に重要な役割を果たす。この特性を利用して,ポリエステルジオールとヘキサミレンジイソシアネートの混合物で実験を行った結果を報告した。