抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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最近の日本の工学の研究が,世界の中で,必ずしも大きな勢いが感じられないとの指摘があり,様々な議論がある。これと呼応して,人材育成,特に工学教育の重要性が一層高まっている。本稿では,ワシントン・アコード(WA)における「卒業生として身に付けるべき知識・能力」の中に「研究」の重視が盛り込まれていることに触れつつ,最近の工学教育でのデザイン教育の重要性とその中での研究センスの必要性について述べた。まず,工学教育の変遷と,米国および日本における1990年代の工学教育の変遷についてそれぞれビューし,次に,WAの「卒業生として身に付けるべき知識・能力」12項目中の「研究」が関わる項目(項目4)の内容を紹介した。続いて,文部科学省科学技術政策研究所のレポートを参照して,論文の量(論文数)と質(引用数)によって分野ごとに研究が評価されていることの是非について論じ,工学研究の勢いが減速した理由について考察した。また,工業教育でのデザイン教育について,JABEEのデザインの定義を述べ,専門分野が異なる複数の学生からなるチームによるデザイン教育が注目されていることおよびその先行例として,スタンフォード大学デザイン・スクールとオーリン工科大学の事例を紹介した。そして,デザイン教育の内容,重要度は分野によって異なること,デザイン教育に携わる教員は研究においても優れた能力がないと対応が難しいのではないかと論じた。