抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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強磁場中熱処理は,材料の結晶配向性や結晶粒径,相平衡,拡散といった微細組織や合成プロセスに大きな影響を及ぼすことが知られている。10T級の無冷媒超伝導磁石が普及したことによって,材料の高機能化を目指して強磁場中熱処理が盛んに行われるようになり,Nd-Fe-B磁石の保磁力増強効果のような材料の磁気特性を向上させるための強磁場中熱処理効果やα-Fe相の配列や析出促進効果などが注目されている。本稿では,強磁場中熱分析,特に相平衡への強磁場効果を明らかにするための強磁場中熱分析装置について述べる。特に,東北大学金属材料研究所で開発された強磁場中示差熱分析装置に注目する。先ず,52mmの室温ボアを有する示差熱分析システムと32mmの室温ボアを有する45Tハイブリッドマグネット型示差熱分析システムの概要を紹介する。この装置で得られた,相平衡や合成過程に対する磁場効果として,高温超伝導体の合成に対する強磁場効果以外に,Fe結晶やMnBiに関する実験結果を示し,磁場中自由エネルギーの観点から,相平衡に対する磁場効果を解説する。定常強磁場中では,強磁性相を含む平衡状態図全体が大きく変化することから,磁場中熱処理によって材料開発を行う場合,磁場中状態図が重要であることが分かった。また,磁場効果を良く理解するためには,平衡状態だけでなく,結晶成長や核生成に対する磁場効果も考慮することが重要であることが分かった。