抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者は,平成18年度から千葉県産業振興センター製造中核人材育成事業に,教育プログラム開発者,講師として関わってきた。本稿では,この人材育成の中で見えてきた「ノンテクニカルスキルの低下」を起点として安全教育に関する見解を述べた。まず,教育プログラム「製造現場トレーナーの育成」の受講者が高く評価している「数式あて」を紹介した。これは,高いプレッシャーの下における集団的意思決定,とくに状況認識とコミュニケーションを中心に演習を行うために開発されたポリシーエクササイズである。エクササイズ体験のキーは,状況認知と状況対応ならびにコミュニケーションである。演習の結果は,ポリシーエクササイズの想定通りであったが,ここ2,3年,演習において疑問点が目立つようになった。そのため,Erik Hollnagelの提唱するレジリエンス・エンジニアリングのSafety-II:先取り型安全マネジメントにより,疑問に対する答えを探った。その結果,Safety-IIでは,1)日常の業務遂行の実態における問題,2)Safety-II不全,であると解釈できる。これは,状況認識,意思決定,コミュニケーション,チームワーク,リーダーシップというノンテクニカルスキルが日常業務の中であまり重きを置かれていない状況が,演習を通して顕在化したものと考えられる。そこで,ノンテクニカルスキルの学習と評価のためのフレームワークを示した。ラスムッセンのSRK(技能,規則,知識)モデルを参照し人間行動のモデル化を行う。そして,Braccoが提示したレジリエンスマトリックスを援用して安全教育のためのフレームワークを考案し,それに基づく教育手順を提案した。